Webアクセシビリティの重要性と対応のポイント

2024.07.31
Webアクセシビリティの重要性と対応のポイント

2024年4月に「障害者差別解消法」が改正され、Webアクセシビリティへの対応の重要性が高まっています。
しかし、Webアクセシビリティと言われても、どういうことかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、いま知っておくべきWebアクセシビリティについてわかりやすく説明します。

Webアクセシビリティとは

「Webアクセシビリティ」とは、Webサイトが誰にとっても使いやすく、そこに掲載された情報を利用できるようにすることを指します。
デジタル庁では、次のように説明されています。

ウェブアクセシビリティは、利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味しています。
引用元:「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/08ed88e1-d622-43cb-900b-84957ab87826/53f76eaa/20240329_introduction_to_weba11y.pdf

2024年4月に改正された「障害者差別解消法」により、障害者に対する合理的配慮が民間事業者にも義務化されました。ただ、これはWebアクセシビリティの義務化ではないため、Webアクセシビリティに対応しないからといって罰則はありません。しかし、このような流れの中で、Webアクセシビリティ対応の重要性は高まっていると言えます。

Webアクセシビリティの対象となるユーザ

Webアクセシビリティ対応によってWebサイトが利用しやすくなる対象として、視覚や聴覚に障害のある人、身体機能に障害のある人、知的障害や発達障害がある人などが想定されています。また、高齢の人や、ケガをして一時的に不自由な状態にある人もその対象となっています。

しかし、Webアクセシビリティ対応によって利用しやすくなるのは、このような障害がある人だけではありません。Webアクセシビリティに配慮されたWebサイトは、あらゆる人にとって視認しやすく使いやすいWebサイトになります。
Webアクセシビリティに配慮することは、すべてのユーザーにとってプラスになることだと言えます。

Webアクセシビリティの具体例

Webアクセシビリティの具体例は、デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」にあげられています。ここではその一部を紹介します。

・写真やイラストの内容を示す代替テキストを付与する
・キーボード操作だけですべての機能にアクセス可能にする
・色の配置や文字の大きさなどを視認しやすいものにする

個々のWebサイトによって、配慮すべき項目は違ってきます。自社のWebサイトに必要な項目について対応を考えていきましょう。

Webアクセシビリティに対応するメリット

企業がWebアクセシビリティに対応するメリットとしては、次のようなものがあります。

より多くのユーザーに利用してもらえる

Webアクセシビリティに対応することで、障害のある人や高齢者など、これまではWebサイトを見てもらえなかった人にも利用してもらえるようになります。
また、そのような読みやすく使いやすいサイトは一般の人にとっても使いやすいので、同じような内容のWebサイトやWebページが多々ある中でも、自社のWebサイトやWebページが選ばれる可能性が高まります。したがって、自然なかたちでユーザーを増やしていくことができるでしょう。

企業のイメージアップにつながる

現代は、ただモノやサービスを売るだけではなく、SDGsなどの社会的な取り組みも企業には求められています。Webアクセシビリティに対応することは、社会的な意識が高い企業であると示すこととなり、企業のイメージアップにもつながります。

SEO対策になる

Webアクセシビリティに対応したWebサイトは使いやすいサイト構造になっているので、検索エンジンにとっても信頼のおける高いサイトと評価されやすくなります。
これはSEO対策としてもプラスになり、より多くの集客につながるでしょう。

Webアクセシビリティのガイドラインと規格

Webアクセシビリティを向上させるといっても、具体的にどうすればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。Webアクセシビリティには、ガイドラインと規格が定められています。

Webアクセシビリティの関連規格

Webアクセシビリティの主な規格には、WCAGとJIS X 8341-3があります。
WCAGは、国際的にWebアクセシビリティを推進するための団体であるW3C(World Wide Web Consortium)が策定したガイドラインで、国際的な基準とされています。

国内企業はJIS X 8341-3を基準とするのが一般的

JIS X 8341-3は、JISが定めたWebアクセシビリティの規格です。WCAGをふまえた内容となっているので、国内企業はJIS X 8341-3を基準としていれば問題ありません。

Webアクセシビリティへの対応するための3ステップ

ここからは、具体的なWebアクセシビリティ対応の手順を、JIS X 8341-3を基準とする場合について説明します。

STEP1 対応するレベルを決める

JIS X 8341-3では、Webアクセシビリティの達成基準として、レベルA(最低限)、AA(望ましい)、AAA(発展的)の3つが提示されています。この中から、自社がどのレベルに対応するかを決定します。レベルAAをめざすのが一般的です。

STEP2 Webアクセシビリティの方針を策定する

目標とする対応レベルを決めたあとは、自社のWebアクセシビリティの方針を決めます。内容は、Webアクセシビリティに対応するWebサイトの範囲、目標とする達成レベルと対応度、達成期限などになります。

STEP3 Webアクセシビリティの試験を行う

STEP2で策定されたWebアクセシビリティの方針に従って、Webサイトを作成します。
Webサイトが完成したら、JIS X 8341-3の規格を満たしているかどうか、試験を行います。試験については、JIS X 8341-3で手順が示されています。
JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン)
https://waic.jp/docs/jis2016/test-guidelines/202012

試験はWebサイトの中から選定したページに対して実施します。試験の方法には、自動チェックツールを使う方法と、手動で確認する方法があります。

試験が終わったら、その結果をWebサイトの中で公表することが推奨されています。
結果を公表することで、Webアクセシビリティに対して積極的な企業であることを示すことができます。企業イメージのアップにもつながるでしょう。

まとめ

多様性を志向する世の中の流れの中で、誰に対しても開かれたWebサイトを制作することはより重要性を増しています。
しかし、どのように取り組めばよいのか判断しにくいのがWebアクセシビリティです。
Webアクセシビリティでお困りの方は、豊富な経験を持つQoilにご相談ください。