パーパス拡張型ロイヤルティプログラムとは?他社成功事例3つと基礎知識やメリット
ロイヤルティプログラムの導入を検討している方へ、単なるポイントプログラム以上に、自社ブランドやサービスに最適なロイヤルティプログラムをお探しではありませんか?
顧客との関係を深め、企業価値・ブランド価値を効果的に浸透させる方法として注目されているのが「パーパス拡張型ロイヤルティプログラム」です。
この記事では、導入のメリットや成功事例を詳しく解説します。ファンを育て、ブランド価値を高めるためのロイヤルティプログラム構築に役立つヒントをご紹介します。
目次
ロイヤルティプログラムとは
顧客に自社に対する愛着を持たせることで優良顧客へ育成し、リピート率の向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すマーケティング戦略です。
具体的な施策としては、次のようなものが挙げられます。
- 購買金額に応じたポイントやマイルの還元
- 会員プログラム
- クーポンの発行
- 会員限定セール
「ロイヤルティプログラム」については、こちらの記事もご覧ください。
ロイヤルティプログラムの中でも最近注目されているのがパーパス拡張型です。どのような目的や手法が展開されているのか見ていきましょう。
パーパス(Purpose)とは
パーパス(Purpose)とは、企業の「存在意義」や「事業の目的」といった核心部分を表現するものです。パーパスは、企業がどのような社会的役割を果たすべきか、また、その存在価値をどのように提供するかを明確に示します。
パーパスと混同されがちな概念として、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)がありますが、これらはそれぞれ異なる役割を持っています。ミッション(Mission)は、企業が達成すべき使命や目標を示し、ビジョン(Vision)は、将来的に企業が目指すべき姿を描きます。バリュー(Value)は、企業が大切にする価値観や行動指針を示すものです。
これに対して、パーパスは企業の存在意義そのものであり、社会における企業の役割を定義するものです。パーパスは、ミッションやビジョン、バリューの基盤となる考え方であり、これらを方向づける役割を果たします。
パーパスが重要な理由
パーパスは、企業の”羅針盤”としての役割を果たします。これにより、企業全体が同じ方向を目指し、従業員から経営層まで一貫した行動がとれるようになります。従業員は、自分の仕事が企業の大きな目的にどう貢献しているかを理解することで、仕事への意義を感じ、エンゲージメントの向上につながります。
また、顧客も企業のパーパスに共感することで、深い信頼関係を築くことができます。パーパスを明確に示し、それを企業活動全体に反映させることで、ブランドの価値向上にもつながります。顧客は単に製品やサービスを購入するだけでなく、その企業が社会に対してどのような貢献をしているのかに共感することで、長期的な関係を築くことができるのです。
このように、パーパスは企業の存在意義を示し、従業員や顧客との信頼関係を築く上で非常に重要な要素となります。企業の方向性を定め、全員が同じ目標に向かって進むための”羅針盤”となることで、組織全体の力を結集し、持続可能な成長を促進します。
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムとは
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムは、企業のパーパスや理念に基づいて設計されたロイヤルティプログラムです。たとえば、顧客にブランドの価値観を深く感じてもらえる体験を提供したり、ブランドの歴史やこだわりについて学べるコンテンツを提供することで、顧客とのつながりを深めます。パーパス拡張型ロイヤルティプログラムを取り入れることで、「購入金額」や「来店回数」など購買にまつわる部分だけでなく、購買以外の部分でも関係性を深めることができます。
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムの例
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムの具体的な例として、以下のような取り組みがあります。
- 「歴史やこだわりを知る動画」: 企業の歴史や製品に対するこだわりを紹介する動画コンテンツを提供することで、顧客により深くブランドの価値を伝えます。
- 「限定コミュニティ」: ブランドの理念に共感する顧客同士が交流できる限定コミュニティを提供し、ブランドの価値観を共有します。
- 「特別な体験の提供」: 企業のパーパスに関連した特別な体験を提供することで、顧客がブランドの価値観を体感できる機会を作ります。たとえば、製品の製造過程を見学するツアーや、ブランドの理念に基づいたイベントへの招待などが考えられます。
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムを導入するメリット
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムを導入することには、以下のようなメリットがあります。
- ブランドの価値について理解を深めてもらえる
パーパスに基づいた体験やコンテンツを提供することで、顧客はブランドの価値をより深く理解し、共感することができます。これにより、ブランドに対する信頼感や愛着が高まります。 - 購買行動以外で顧客とのつながりを保てる
パーパス拡張型プログラムは、購買以外の行動を通じて顧客とつながる機会を提供します。これにより、顧客は単なる消費者以上の存在となり、ブランドとの長期的な関係を築くことができます。 - 他のロイヤルティプログラムとの相乗効果が見込める
パーパス拡張型プログラムは、既存のロイヤルティプログラムと組み合わせることで、顧客はブランドの価値を理解しつつ、特典を享受できるため、プログラムへの参加意欲がより高まります。
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムは、ブランドの存在意義を顧客と共有し、深い関係性を築くための強力なツールです。企業の理念や価値観をしっかりと伝えることで、顧客との結びつきを強化し、ブランドロイヤルティを高めることができます。
パーパス拡張型ロイヤルティプログラムの事例
ここからは、パーパス拡張型ロイヤルティプログラムの具体的な事例についてご紹介します。
【参考事例】IKEA/IKEA Family
IKEA Familyは、年会費・入会費無料で加入できるIKEAの会員プログラムです。このプログラムに参加することで、会員は特別価格での商品購入や会員限定クーポン、無料アクシデント保証など、さまざまな特典を受けることができます。
IKEAのパーパス「より快適な毎日を、より多くの方々に」には、「優れたデザインと機能性を兼ね備えた、丈夫でお手ごろでサステナブルなホームファニッシングソリューションを、金銭的に豊かでなくとも大きな夢を持つ人々に提供したい」という想いが込められています。この想いを広く伝えるために、IKEAの会員制度は誰でも利用しやすいように設計されており、入会金や年会費は一切かかりません。
このように、IKEAのロイヤルティプログラムは、IKEAのパーパスがそのまま反映されたものであり、顧客に対してブランドの価値観を共有し、長期的な関係性を築くことを目指しています。まさに、パーパス拡張型ロイヤルティプログラムの典型的な例といえるでしょう。
【参考事例】アディダス・ジャパン/adiClub
adiClubは、アディダスが提供する会員プログラムで、顧客のアクションに応じて4段階のレベルが設定されています。このプログラムでは、ポイントを貯めることでレベルアップが可能であり、その方法はショッピングだけに限らず、「adidas Running」や「adidas Training」を使ったランニングやワークアウト、プロフィールの入力やレビュー投稿など、多岐にわたります。
レベルアップすると、割引サービスや配送料無料、会員限定商品の購入、人気商品の先行販売といった特典が得られるだけでなく、対象商品に好きなネームや番号を無料で入れられるマーキングサービスなども利用可能です。さらに、「2026 FIFAワールドカップ」アジア2次予選の試合をウォームアップから観戦できるペア招待券や、選手と一緒にエスコートキッズとして入場する権利が当たる抽選など、アディダスならではの「一生ものの体験」を提供する特典も用意されています。
このように、adiClubは、スポーツやアクティブライフスタイルを支援する活動やイベントに参加する機会を提供することで、パーパスである「Through sport, we have the power to change lives.(スポーツを通じて、私たちには人々の生活を変える力がある。)」という理念を具現化しています。そうすることで、単なる購買特典以上の価値を顧客に提供し、ブランドのパーパスに基づいた顧客体験を具現化しています。
【参考事例】FABRIC TOKYO メンバーシッププログラム
オーダーメイドのビジネスウェアを提供する、FABRIC TOKYOのブランドコンセプトは「Fit Your Life.」であり、顧客の体型だけでなく、一人ひとりの価値観やライフスタイルにフィットするビジネスウェアを提供することを目指しています。一度店舗で採寸を行うと、ネット上で自分にぴったりのオーダーメイドスーツやシャツを購入できるため、従来のテーラーに対する敷居の高さを感じる人にも利用しやすいサービスを提供しています。
FABRIC TOKYO メンバーシッププログラムは、顧客一人ひとりのサービス利用状況に応じた4段階のステージが設定されており、ステージに応じて各種サポート、限定イベントへの招待、特別なクーポンなどが提供されます。顧客の利用状況に応じてアクションベースでランクが用意されており、顧客エンゲージメントを高める仕組みとなっています。
また、店頭や商品購入後のアンケートで生じた「革靴のオーダーもやって欲しい。」という顧客の声を活かし、会員限定でオーダーシューズ先行体験会を開催しました。そして先行体験会で顧客から得たフィードバックを基に、正式なリリースに向けて商品のアップデートを行っています。
このように、FABRIC TOKYOメンバーシッププログラムは、単なる購入額に依存するものではなく、ブランドと顧客の関係性を深めることを目的としています。これにより、顧客の長期的なエンゲージメントを促進するパーパス拡張型ロイヤルティプログラムを実現しています。
まとめ
ロイヤルティプログラムを効果的に導入・運用するためには、自社のパーパスに基づいた設計が重要です。Qoilは、企業のパーパスを深く理解し、それを体現するロイヤルティプログラムの設計からご支援いたします。ロイヤルティプログラムにご興味があるご担当者様は、お気軽にQoilにご相談ください。